北海道恵庭市などの北海道大演習場で実施中の陸上自衛隊と在沖縄米海兵隊の共同訓練で、米国の新型輸送機オスプレイが8月21日、北海道の日米共同訓練で初めて夜間飛行訓練をした。
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オスプレイは、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)所属の2機。米軍三沢基地(青森県三沢市)を同日午後7時すぎに離陸。同演習場で目的地まで隊員らを輸送する「空中機動訓練」を行い、着陸せず、周囲の上空を旋回しながら同8時すぎに三沢基地に戻った。訓練の詳細や飛行ルートなどは分かっていない。
オスプレイをめぐっては、続出する事故の影響で国内での訓練地の地元市民団体らが抗議活動をしている。夜間訓練では2016年12月に沖縄県名護沖の空中給油訓練中に不時着し、機体が大破する事故が発生。今年8月5日にはオーストラリア沖で墜落事故があり、米海兵3人が犠牲になった。
今回の日米共同訓練は8月10日から始まった。同18日に北海道で行う共同訓練に初めてオスプレイが参加した。当初は10日の訓練初日にオスプレイが参加する予定だったが、オーストラリアの墜落事故を受けて、日米で協議を重ねていた。オスプレイが初めて共同訓練で飛来した18日、在沖縄米海兵隊群長のジェームス・ハープ大佐はオスプレイの夜間飛行訓練について「訓練終了後に詳細をお知らせしたい」と語っていた。
日米合同員会の合意で今後は全国で飛行訓練が実施される可能性も
米海兵隊によると、オスプレイは日中の操縦でも高い技量を必要とすると言う。今回の夜間飛行訓練では、道内上空で住宅地や高速道路、一般道の上空を飛行したとみられる。共同訓練でオスプレイは初飛来した18日、JR千歳駅周辺で恵庭に隣接する千歳市の市民団体約30人が訓練反対の抗議活動を展開している。今後も北海道内でオスプレイの訓練飛行をめぐり、抗議集会などの動きにつながりそうだ。
北海道のオスプレイが参加する共同訓練は、2016年9月の日米合同委員会の合意で決まった。有事や災害派遣に備え、沖縄県外での運用の推進、沖縄県の負担軽減などを目的にしている。ただ、事故が多く、全国各地の自治体ではオスプレイの訓練参加に対して強い懸念を示しているところが大多数だ。
北海道の日米共同訓練では、同演習場のほか上富良野演習場(上富良野町)でもオスプレイの飛行訓練を予定している。今回の共同訓練は陸上自衛隊1300人、米軍2000人の計3300人と過去前例のない大規模演習だ。北海道の訓練は8月28日まで行う。