北海道奥尻高の生徒によるクラウドファンディング(CF)が11月3日、開始から3日目で目標額の約74%にあたる89万400円に達した。離島のハンデを解消するため、部活動などの遠征費負担の軽減が目的。資金提供者には生徒がデザインしたTシャツなどを提供する。
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島外の練習試合1日1人当たり1万6000円以上
CFはインターネットで事業や夢の実現に向けてプレゼンし、賛同を得たパトロンから資金提供を受けるシステム。奥尻高がある北海道南の奥尻町は、人口約2800人の奥尻島にある。島内には高校が奥尻高以外にない。運動部にとって、練習試合では島外に出るしか方法がないのが現状だ。
同校には「野球部」「卓球部」「バレーボール部」「吹奏楽部」「ボランティア局」の5つの部局がある。陸上競技などの個人競技や個人の文化活動でも、支部予選などで島外に出なければならない。野球部は1回の遠征で1人当たり交通費だけで1万6000円以上かかる。このため、遠征費の負担軽減のため、CFで120万円の資金提供を募った。
今回のCFは3人の女子生徒が中心になり、提案した俵谷俊彦校長らと話し合いを重ねながら募集を開始した。
▽松前幸歌さん(3年)のコメント
本来、自費で出品するはずだったコンテストを学校のはからいで出品することができました。だからこそ、私は学校に恩返しをしたいと思っています
▽舩越未夢さん(2年)のコメント
本校の最大の課題(遠征費が高すぎて、遠征に行けない)を聞いたとき、私の心が動かされました。この課題解決のため、自分がどこまで通用するのか試したい
▽邊見歩花さん(2年)のコメント
今は支援をお願いする立場ですが、この取り組みでマーケティングの一部を体験し、学校や地域、大勢の人たちに貢献できるようになりたいです
2017年4月に全国から生徒募集を開始
奥尻高は2016年4月に北海道道立高校から奥尻町立高校に移管された。生徒数を増やすため、2017年4月から全国を対象に新入生の募集を開始した。町立に移管されたのは生徒数の減少が理由だが、これを機に町全体で唯一の高校を盛り上げていく機運も高まっている。
奥尻島の特色を生かした授業も展開している。普通科高校でありながら、「スクーバダイビング」のカリキュラムを設け、海洋実習を行う。「奥尻パブリシティ」では島内の課題解決に向けて提案など、社会に向けて実践的な内容も取り入れている。生徒や保護者の負担を軽減させるため、次のような補助金も用意している。
・民宿(提携する下宿)の代金月5万円のうち、毎月1万円を補助
・里帰りの交通費の実費を半額補助(上限1回3万円で年4回)
・保護者の来島時に交通費の半額補助(上限1回3万円で年2回=1人分)
・昼食代の補助、民宿⇔学校までの無料スクールバス
今回のCFを通して、奥尻高の知名度が上げるPR効果も狙いの一つになる。高校生たちのひたむきな姿に、資金提供の賛同者が続々と増えている。