芦刈茂前市長(68)の失職に伴う福岡県太宰府市長選挙は1月21日、告示された。同28日に投開票を行う。立候補者はともに無所属新人で、前市教育長の木村甚治氏(64)=自民推薦=、元衆院議員の楠田大蔵氏(42)の2人。立候補者の詳細や情勢予想などを伝える。
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大宰府市長選挙速報
◎木村 甚治氏 得票数11157
△楠田 大蔵氏 得票数13103 当選
※情勢予想は◎=有力、〇=やや有力、△=苦戦、無印=評価対象外
※1月28日確定=投票率42.17%
太宰府市長選は楠田氏が初当選した。
立候補者のプロフィルや主な経歴など
木村氏は福岡大法学部を卒業。1977年4月に旧大宰府町(現大宰府市)に入庁、税務課に所属した。2003年に大宰府市観光課長、09年に市総務部長を歴任、市教育長を12年から務めた。市の要職に就いていた豊富な行政経験がある。特に市の中枢を司る総務部長歴があり、市が抱える問題にも精通し、市幹部とのネットワークを持っている。
楠田氏は2浪を経て東京大法学部に進学。卒業後、2000年住友銀行(現三井住友銀行)に入行。02年国家公務員Ⅰ種試験に合格した。03年衆院選に民主党から出馬して比例復活で初当選。05年衆院選で06年12月に繰り上げ当選した。09年には小選挙区で初当選した。12、14、17年の衆院選で落選している。父は元福岡県筑紫野市長の幹人氏。
◇木村 甚治(きむら・じんじ)氏
生年月日:1953年8月10日
出身地 :福岡県太宰府市
出身校 :福岡大法学部
主な経歴 : 太宰府市教育長、市総務課長、市観光部長、旧大宰府町税務課
◇楠田 大蔵(くすだ・たいぞう)氏
生年月日:1975年4月20日
出身地 :福岡県筑紫野市
出身校 :東京大法学部
主な経歴 : 衆院議員(3期=福岡5区)、防衛省政務官
立候補者の主な公約や主張など
▽木村氏
・豊富な行政経験を生かし、行政改革の推進を行う
・「郷土」の大宰府を愛し、守り、伝えて育てていく
・地元商工業の活性化を目指し、「大宰府ブランド」の創造
▽楠田氏
・混迷中の市政の原因を明らかにして、徹底的な情報公開
・市長、市役所、議会、市民が一つとなって行政再建を推進
・大宰府の「底ヂカラ」を引き出して日本を代表する都にしていく
木村、楠田両氏の公約や主張に大きな違いはない。ともに現在も混迷を極める市政の正常化に向けて取り組むことを挙げている。
選挙の争点や情勢、予想などを解説
大宰府市長選は、市政の早急な正常化が争点になる。芦刈前市長が選挙公約の不徹底や副市長を独断で解任するなど、議会と対立して不信任決議案が可決された。芦刈氏は2017年10月に市議会を解散して応戦した。12月の市議選後、最初の市議会で芦刈氏に2度目の不信任案が可決されて失職した。
このため、同市の行政経験が豊富な木村氏が、議会との連携の再構築に向けて、市議14人からの支持を受けている。一方の楠田氏は議会との距離感について、スタンスが未知数だ。木村氏は自民福岡県連が推薦を決めており、自民や保守層が多い大宰府にとって優位な状況に立っている。
1月28日の投票時間は7~20時で、即日開票する。1月20日現在の選挙人名簿登録者数は5万8966人(男2万7775人、女3万1191人)。