シンガーソングライターの松山千春(61)=足寄町出身=が8月20日、航空機内で臨時コンサートを“開催”した。古里で夏休みを過ごした人たちのUターンラッシュで、保安検査場が大混雑。出発時間が1時間近く遅れ、殺気だった全日空機内であの名曲「大空と大地の中で」を披露して、一瞬で場を和ませた。
松山は同日午前11時55分札幌(新千歳)発、大阪(伊丹)行きの全日空機に乗り合わせていた。しかし、空港が大混雑したこともあり、同機が実際に新千歳空港を離陸したのは午後1時3分だった。なかなか飛び立たない機内で、乗客の我慢も限界に達していた。そこで、松山が“神対応”を見せ、客室乗務員に掛け合い、機長の許可を得て、あの代表曲を歌い上げたのだ。
マイクは、客室乗務員がアナウンスで使うインターホン。それでも、プロの歌声で瞬時に、いら立っていた乗客を鎮静化したのはさすが。「機内は最悪の雰囲気で、中にはCAさんにしつこく質問する人もいました。千春さんが歌いだすと、最初は物まねタレントかと思いきや本物だと分かり、感動しました。このまま飛ばなくてもいいかなと思いました」と乗客の一人が北海道ニュース&タイムリーの取材に答えた。
松山は全日空の関係者に成り代わり、釈明と乗客たちを鼓舞する言葉をかけ、最後にお礼の言葉をかけたという。機内はスタンディング・オベーションが、かなりの時間鳴り響いていたという。
大阪に到着した松山は、同日午後9時からのOBCラジオ大阪の「松山千春のON THE RADIO」に生出演。そこで、機内のいきさつを語り始めた。「だんだん雰囲気が悪くなるのが分かるべ。機内の雰囲気が悪いんだよっ。歌いだして40年以上たつけど、キャビンアテンダントのマイクで歌ったのははじめて」と茶目っ気たっぷりに当時の模様を披露していた。
さすがにベテランのエンターテイナーだ。