カルビー(本社・東京)は8月21日、47都道府県の地元の味を再現するポテトチップスの第1弾として北海道限定の「山わさび味」を発売すると発表した。9月18日から道内のコンビニエンスストア、新千歳空港などの道内外の直営店で販売する。
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今回の「山わさび味」の開発をめぐっては苦労もあった。北海道産の山わさびを原料にポテトチップスに振りかける山わさびパウダーの開発に成功。カルビーの担当者が自信満々に道庁職員に試食してもらったところ、「山わさびの辛さが足りないと」との“ダメ出し”を受けた。ちなみに、ご当地シリーズのポテトチップスは、地域の自治体職員と開発する商品になっている。
カルビーでは結果を社に持ち帰り、再度研究に着手。辛すぎても商品として成立せず、辛さがたりないと、せっかくの山わさびという食材の特徴を生かせない。この絶妙な「ワビ・サビ」がなかなかつかめなかった。しかし、絶え間ない新商品開発にかける担当者の意気込みが、薄い1枚に乗りうつり、辛さの最適化を実現。ペラペラの1枚に重厚感あふれる味がついに宿ったのだ。
北海道でご当地の第1弾を展開するのはわけがある。同社のポテトチップスは、年間約30万トンの国産ジャガイモを使用する。そのうちの約8割が北海道産だからだ。道内はポテトチップスの聖地ともいえ、同社では特別な場所としてリスペクトしている。
北海道は国産山わさびの生産を約9割が占める
山わさびの生産量は、年間約2500万トンで国内生産量の9割が北海道を占める。西洋わさびの原産地は欧州で知られ、気候が似ている北海道で育ちやすいのが理由。北海道のソウルフードともいえるジャガイモと山わさびは、最強のコラボレーション食材なのだ。
ポテトチップスは、2016年7~8月に北海道に上陸した相次ぐ台風の影響で、収穫を控えた大部分のジャガイモ畑が被害を受けた。このため、ポテトチップスの安定供給が途絶え、一部商品の販売中止が続出。店舗から次々とポテトチップが姿を消していった。ネットオークションでは、最高で販売価格の100倍ほどの値がつくなど話題にもなった。「山わさび味」も当初は7月の販売を予定していたが、2カ月ほど延期している。
それだけに、カルビーでは「台風被害であらためて、ポテトチップスが愛されていると知った。今回の商品で北海道の魅力を掘り起こしていきたい」と力をこめた。地元をはじめ、北海道旅行のお土産でもブレークしそうな予感が高まる。