小型航空機の開発を手がけるオリンポス(東京)が8月23日、滝川市の「たきかわスカイパーク」で国内初の有人ソーラー機の試験飛行に成功した。同機は動力源に太陽光発電を使って飛行する。6月下旬から試験飛行を同パークで行っていた。
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引用:NHK
ソーラー機は全長9m、両翼18mで重さ83キロ。1人乗りのプロペラ機。機体のフレームは木材を使用し、発泡スチロールでボディーを覆うことによって軽量化した。ソーラーシステムは両翼に設置している。ヘアドライヤー使用時とほぼ同じ2200ワットの電力でプロペラを回す。
成功した試験飛行は高度11m、距離600mを記録した。全長800mの滑走路を使って試験飛行を8回実施。3回目の飛行で、国土交通省が本格的な飛行としている高度3m以上の飛行に成功した。当時の気象条件は風速3mの向かい風で、離陸時の速度が50kmだった。成功を確認すると、同社の関係者らが安どの表情を浮かべていた。
目標としていた高度20mで、スカイパーク周辺で2kmのフライトプランは「風が強いと難しい。これを課題としてまたチャレンジしたい」と同社の四戸哲社長は語った。
同社の有人ソーラー飛行のプロジェクトは、 サレジオ高専(東京)、大阪大、横浜国大、東北大などの学生や関係者が参加している。機体は「SP-1」という名称で、国土交通省航空局から「JX0148」というナンバー登録を受けている。ソーラーフライトは2015年から開始している。
オリンポスは、人気アニメ「風の谷のナウシカ」のオープンスカイプロジェクトに参加したことでも知られる。アニメの登場する飛行する乗り物「メーヴェ」を実現させるため、当初の1人乗りのジェットグライダーの設計・運用などに携わっていた。
欧米の先進プロジェクトを目指して技術の向上を目指す
有人ソーラー機による試験飛行は、環境に優しい再生可能エネルギーを使うことによって、飛行の実用化を目指すもの。海外では実用的な開発が進み、スイスや米国で大がかりなプロジェクトが始まっている。アルプスの山々を越えるフライトや蓄電器の開発で昼夜の飛行実験にも成功している。開発には複数の企業の賛同もあり、資金面の課題もクリアしている。
日本はソーラーシステムの高い技術力を持っているが、動力性能に応用する発想が欧米の先進プロジェクトに比べて浸透していない。このため、同社では関連企業からの支援や技術提携などを受け、有人ソーラー飛行のさらなる向上のため、開発や試験飛行を繰り返し行っていくという。