2030年度末の札幌延伸を目指す北海道新幹線が、札幌-新小樽(仮称)間で札幌市の地上走行区間が約1kmになると、8月25日付の北海道新聞が報じた。同区間は全長26.2kmの「札樽トンネル」を設け、同市中央区北6西10が出入り口になるという。
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北海道新聞によると、8月23日に札幌市内で開いた鉄道建設・運輸施設整備支援機構の住民説明会で計画を明らかにした。地上走行は中央区北6西10の石山通をくぐってすぐのあたりで、在来線と並行して札幌市の所有地に建設する高架を走行して、札幌駅に接続する仕組み。札幌市内で新幹線の車体を拝めるのは、たったの1kmにとどまり、少々寂しさを感じる。これには、大都市を走るための影響を考慮したものだ。

引用:北海道新聞 札幌市中央区北6西10近辺
地上走行区間が長ければ、騒音の問題で近隣住民の生活環境が悪化する。騒音被害が発生しないトンネル区間を長くすれば、その分、騒音問題がクリアできる。約1kmの地上走行区間でも、住宅やオフィス街、北海道大学が近隣にあり、高いレベルの防音対策が必要だ。高架の工事では騒音や振動を吸収するなど、近隣への負担を減らすよう環境維持を大前提にプロジェクトを進めていく。
「撮り鉄」にとって頭を悩ますシャッターチャンス
北海道新幹線が“恥ずかしがり屋”とあって、多くの鉄道ファンががっかりするかもしれない。大都会・札幌市を走る新幹線の勇姿を撮影しようにも、わずか1kmではあっという間。場所柄、撮影ポイントも限定され、「撮り鉄」の方々の頭を悩ませる。札幌市内の地上走行は、徐行区間であることが考えられる。時速60kmで徐行したとしても、わずか1分で札幌駅に到着してしまう。
札幌延伸に向けては、新小樽側から手稲山を貫通してトンネルと接続する計画。JR発寒駅の線路をくぐり、同駅から琴似駅までの在来線と新幹線の地下トンネルが並行する。2017年6月の段階では、西区西宮の沢から地上走行に入る計画だったが、これが7.5kmほど札幌駅方向にトンネルを延長した形だ。
北海道新幹線は2016年3月26日に新青森-新函館北斗駅(約148km)が開業した。札幌延伸に向けて、新函館北斗駅からは「新八雲」(仮称)「長万部」「倶知安」「新小樽」(仮称)の4駅を挟む。距離は約212kmで計14市町村を経過する。
所要時間は東京-新函館北斗が4時間2分、仙台-新函館北斗が2時間30分、新青森-新函館北斗が1時間1分の各最短時間で結ぶ。運行本数は東京-新函館北斗間などが1日10往復となっている。東京-札幌間は、5時間1分で結ぶというのが、一つの目安になっている。