8月29日5時58分ごろ、北朝鮮西岸から1発の弾道ミサイルが発射された。Jアラート(全国瞬時警報システム)が一斉配信した。政府はミサイルが日本の上空を通過して、北海道襟裳岬沖東方1180km地点に落下したと発表した。
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安倍晋三首相は「国民の生命をしっかり守るため、万全を期したい。政府ではミサイル発射直後から動きを完全に把握していた」と話した。
6時40分すぎに菅義偉官房長官が臨時の記者会見を行い、国内への被害が確認されていないと発表した。菅長官は「これまでにない深刻かつ重大な脅威」と北朝鮮を強く非難した。政府によると、ミサイルは3つに分離され、渡島半島を通過し、同日6時6分ごろ、北海道襟裳岬上空を通過。6時12分ごろ、襟裳岬東方1180km地点に落下したと発表した。弾道ミサイルの飛行距離は2700km、最高高度は550kmと推定している。
日本によるミサイルの破壊活動はなかった。政府は国家安全保障会議(NSC)を開き、対応を協議した。国連へ安保理緊急会合開催を申し入れた。国際社会と連携し、北朝鮮と圧力を強めていく。
時事通信によると、韓国軍合同参謀本部は平壌の順安付近から日本海に向けて、ミサイルが発射されたことを確認。聯合ニュースによると、ミサイルの飛行距離は2700kmと推定した。ミサイルは北朝鮮がグアム近海に4発を発射すると警告した火星14号との情報もある。日本では中距離弾道ミサイルの火星12号と推測している。
事前通告なしに北海道上空を通過
北朝鮮が事前通告をしないでミサイルを発射し、日本の上空を通過するのは異例。日本の上空を通過するのは、今回で5回目になる。現在、米韓の合同軍事訓練を行っており、北朝鮮は連日非難していた。8月26日には日本海に向けて3発の飛翔体を発射している。米太平洋軍は短距離弾道ミサイルと分析していた。
Jアラートは、「国民保護に関する情報」として「ミサイル通過」を一斉配信した。警戒対象地域は以下の通り。
・北海道・青森県・岩手県・宮城県・秋田県・山形県・福島県・茨城県・栃木県・群馬県・新潟県・長野県
北海道庁では午前7時すぎ、危機対策課の職員が集まり、道内各地の自治体へ被害状況などの確認を行った。道内各地では、自治体の防災無線を通じて、住民に警戒を呼び掛けるサイレンと音声が早朝に鳴り響いた。今のところ、道内で被害は確認されていない。
JR北海道ではミサイル通過を受けて一時、北海道新幹線を含む全在来線の運転を見合わせたが、6時25分すぎに全線で運転を再開。在来線で20~30分の遅れが出た。釧路市漁協によると、サンマ漁のため7隻が釧路数十キロで操業していたが、被害は確認されていない。
政府や北海道では今後も引き続き、北朝鮮のミサイル発射の情報収集をしていく。