2018年に施行される住宅宿泊事業法(民泊新法)を控え、道による初めての有識者会議が8月30日、道庁で行われた。弁護士、観光業界、行政などの分野の関係者が出席し、多くの意見が出た。道では年内に条例制定に向けた結論を出す方向だ。
有識者会議では、学校周辺での規制を求める意見が出た。住民とのトラブルの原因となる深夜の騒音、ごみ出しのルールの不徹底、モラルの問題など事例を挙げて紹介。初会議は民泊が抱える諸問題、旅行業界関係者から幅広く問題提起をしてもらうのが目的。道では会議で出た意見を集約して、検討していく。
2018年1月にも年間180日を上限とした民泊新法が施行される。従来の旅館業法による許可制から届け出制になるなど、大幅に規制緩和される。これにともない、多くの民泊事業者が参入してくるとみられる。民泊の上限日数は、各自治体の条例で独自に定めることができ、各地域の状況を見ながら決めていく。
道では2016年4月20日に「地域における新たな民泊のあり方について」をテーマに検討会を設置。座長を総合政策部政策局が務め、関係7部門による構成内容となっている。これまで計9回の検討会と関係団体との意見交換を行った。
相次ぐトラブルの解消が課題
2016年はインバウンド(訪日外国人)が2400万人と過去最高を記録。政府では東京五輪・パラリンピック開催年の20年に4000万人、30年に6000万人を目標に大幅に上方修正した。インバウンドを受け入れるためのホテル・旅館などの宿泊施設は不足しており、その分を民泊でカバーするため、民泊新法を成立させた。
その一方で無許可民泊をめぐり、全国では訴訟も相次いでいる。東京や大阪では、マンションの一室で旅館業法の許可を受けず、さらにマンション管理規約で禁止している民泊を営んだとして、管理組合が民泊事業を行っていた個人を相手に提訴。裁判所は民泊事業者に対して業務の中止と損害賠償を支払う判決を下した。
札幌市では今年5月、無許可で民泊営業を行ったとして、13施設に営業中止の行政指導をしている。インバウンドの多い京都市では、2016年7月から無許可民泊の調査を進め、今年7月までに260以上の民泊施設に対して営業中止の行政指導をした。
北海道は通年でインバウンドを含む観光客が多く訪れる国内屈指の観光地だ。高橋はるみ知事は2016年3月の道議会で「地域や事業者ニーズを調査し、新たなルールや規制緩和も含めて検討したい」と一般質問で答弁している。道では民泊新法を見据えた条例制定に向け、今後も議論を深めていく方針だ。