荷物預かりサービス「ecbo cloak(エクボクローク)」を運営する「ecbo」(東京)は9月6日、北海道に初進出すると発表した。荷物のシェアリングサービスとして、2017年1月に東京でスタート。旅行者にとって便利なシステムで人気を博している。
札幌市を拠点に道内400加盟店が目標
同サービスは東京以外に京都、大阪、福岡、沖縄でも展開。北海道で6地域目となる。道内でサービス開始となった背景には、不動産会社の「EZO CONSULTING GROUP」(札幌)との業務提携がある。今後、札幌市を拠点に道内で400加盟店を目標に掲げている。
「ecbo cloak」は新しいタイプの荷物預かりシステムで、「荷物を預けたい人」⇔「荷物を預かるスペースを持つ店」をつなぐシェアリングサービス。カフェやショップなど保管スペースがあれば、ほとんどの店舗が同サービスに登録できる。
「ecbo cloak」は、荷物の預かり場所が駅構内や駅近辺に限定されていたが、街中にある店舗に預けられるなど、旅行者にとって利便性が高まる。店舗側にとっても、本業以外から収入が入り、荷物の預かりサービスを通じて店の商品購入などのビジネスにも発展する。双方にとってメリットがあるシステムだ。現在、道内では30店が加盟している。
札幌市内、近郊の主な加盟店は次の通り。
▽茶道体験 「蓮(れん)」
住所:中央区南2東2-7-1 SALMON2F
▽カフェ 「ジミーブラウン南1条店」
住所:中央区南1西4 第26ビッグビル2F
▽ライスバーガー 「Temp」
住所:豊平区月寒東1条7丁目6-5
▽ガラス工房「虹霓舎(こうげいしゃ)」
住所:小樽市花園3丁目
起業は社長の実体験をヒントに利便性の追求の結果
道によると、2016年のインバウンド(訪日外国人)は約223万人で過去最多を記録。インバウンドの特徴は、9割近くが中国を中心としたアジア圏内だ。買い物などの消費活動も盛んで、「ecbo cloak」の高い利用が想定される。東京五輪・パラリンピック開催年の20年には、500万人のインバウンドを目標に掲げている。
同社によると、JR札幌駅付近のコインロッカーの総数は約1,800で、スーツケースが収納できる大型タイプになると178個しかないという。札幌市は9月8日から始まる「さっぽろオータムフェスト」、2月上旬の「さっぽろ雪まつり」など大型イベントが年間を通して開催され、国内外から大勢の観光客が訪れる。
「ecbo cloak」は2015年6月に設立。工藤慎一社長が学生時代、訪日外国人とともにコインロッカーを40分かけて探したが見つからず、デジタル機器の発展の一方で、不便な状況を目の当たりにした。利便性を考えて立ち上げたのが「ecbo cloak」だ。