北海道の十勝地方で生産・販売している芽室コーンサイダーが、順調な売れ行きを見せている。帯広市の「十勝地サイダー研究会」が開発・運営しているもので、発売から約5カ月で5000本近くを販売し、年間目標の7500本をクリアするのが確実になった。
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コーンの甘みが凝縮された独自のテイスト
芽室町は、トウモロコシの生産量が日本一。地元の十勝産のトウモロコシを有効活用し、コーンの色あいも生かした黄色いサイダーだ。自然な甘みと風味が特徴で、後味がすっきりとしてさわやか。子どもはもちろん、高齢者も含めて広く愛されている。
芽室コーンサイダーは、1本240ml入りで250円。町内の各種店舗や町の観光物産協会「呼路未来」、国民宿舎新嵐山荘などで販売している。
開発したきっかけは、品質に全く問題ないものの、出荷できない規格外のスイートコーンの有効活用だった。町内の農家から提供されたスイートコーンを煮詰めてエキスを抽出。1年半の試行錯誤を経て、独自の製法を考案して商品化に成功した。
現在、町内を中心に販売しているが、今後は状況を見ながら販路拡大も視野に入れている。サイダーを通して、芽室町が誇るスイートコーンの全国的なPR活動を推進させていく考えだ。
研究会が手がける全8種の「地サイダー」の数々
十勝地サイダー研究会では現在、十勝管内の各自治体の特色を生かした「地サイダー」を8種類(8地域)開発して、商品化している。芽室コーンサイダーのように、地元の味がギュッと詰まった味わいが特色のサイダーだ。
【十勝地サイダーのこのほかの種類】
▽足寄オンネトーブルー
森林浴の気分を味わえるさわやかな味が特徴。神秘的なオンネトー湖水にあるマンガン鉱物の沈殿をサイダーに再現した
▽池田ぶどうサイダー
ワインのマチ池田町を象徴する、地元産のブドウをふんだんに使用した。酸味のあるワインテイストを実現し、香りにこだわった逸品
▽更別すももサイダー
更別村の名産品であるスモモを使用した。フルーティーな味はサイダーに最適で、鼻孔をくすぐる香りが引き立つ
▽清水アスパラサイダー
アスパラバスの産地である清水町の特色を生かした。アスパラガスの栄養価の高い部分をぜいたくに使用し、十勝産のビートオリゴ糖を配合
▽新得うめサイダー
新得町で生産している希少価値の「奇跡の梅」をふんだんに使用。完熟梅と青梅が絶妙な配分で甘酸っぱい味を実現させた
▽広尾しおサイダー
太平洋に面した広尾町の特色を生かした。甘さをさらに引き立たたせるよう、塩味を効かせたこだわりの逸品に仕上げた
▽本別黒豆サイダー
本別町は豆の生産地でも知られる。おせち料理の定番の黒豆をサイダーに生かした発想力は、サイダーに香ばしさという新感覚を見いだした
北海道の十勝地方は、食料自給率が1100%以上で、国内で追随を許さない農畜産王国。地元の素材を存分に生かし、サイダーという新商品を開発するアイデアが素晴らしい。今夏、十勝を訪れる旅行者がSNS上で十勝地サイダーの魅力を発信し、徐々に広がりを見せつつある。