政治団体の「新党大地」から鈴木宗男代表(69)が、衆院選(10月10日公示、22日投開票)に比例代表北海道ブロック(定数8)に出馬する。新聞・テレビをにぎわす「鈴木宗男」氏は、平成生まれの人なら「一体、何者?」という人も多い。そこで、この人を解説してみた。
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北海道の選挙区に波風が立ってきた
鈴木宗男氏の出馬が、どうしてこんなに話題になるのか。その理由の一つ目が、自民・公明両党の比例票が割れてしまうからだ。鈴木氏が比例で当選すると、自民・公明両党の比例の当選枠が1つ減少する。だからこそ、北海道の両党内では、反発する声も非常に大きいのだ。
さらに、鈴木氏の長女の貴子衆院議員(31)の問題。政策の不一致から、当時の民主党に2016年3月に離党届を提出したが、受理されず、除籍処分となった。2017年9月28日に自民党へ入党届を提出。今回の衆院選では、自民党比例代表北海道ブロックへの上位掲載が濃厚になっている。
新党大地から親子で比例代表北海道ブロックに出馬すればいいのでは、という素朴な疑問も出てくる。しかし、新党大地から比例代表道ブックで当選できるのは事実上、1人のみ。だからこそ、鈴木氏は新党大地から、貴子氏が自民党のそれぞれの比例代表道ブロックで出馬し、親子そろっての当選を目指しているのだ。
もちろん、自民党内でも反発の声が出ている。10月5日の新聞社の公開討論会では、鈴木氏と自民党道連の長谷川岳選対本部長(参院議員)が激しい舌戦を繰り広げた。長谷川氏は、2016年に自民党に合流するなら新党大地の解散を訴えた。これに対し鈴木氏が、新党大地は政党でなく、政治団体と真っ向から対立していた。これ以上ない“犬猿の仲”にメディアも大々的に報じている。
「疑惑の総合商社」と言われ、逮捕・収監された
鈴木宗男氏は1983年に衆院選に初当選。北海道・沖縄開発庁長官、内閣官房副長官、自民党総務局長などを歴任した。ところが、2002年に受託収賄容疑で逮捕され、10年に実刑が確定し、衆院議員を失職するとともに1年間収監された。刑期が満了した12月4月から選挙へ立候補ができない公民権が停止され、17年4月に回復している。
北方領土の国後島で日本人とロシア人の友好の家(ムネオハウス)の工事に絡み、1999年に意図的に随意契約にさせた事件では、鈴木氏以外の秘書や建設業者ら5人全員の有罪が確定している。2002年1月にはケニアのODA(政府開発援助)疑惑で、当時の田中眞紀子外相と激突している。
このほかにも、北方領土などを舞台にした鈴木氏の数十件の疑惑が、国会で取り上げられた。2002年3月の国会の証人喚問では、当時の辻本清美議員から「疑惑のデパートと言われていますけど、疑惑の総合商社なんですよ」との追及を受け、メディアで一斉に報じられている。
ここで書き切れないほどの疑惑を国会で取り上げられたが、昔気質の情に深い「先生」として、出身地の北海道足寄町や十勝管内では今なお支持者が多い。そんな鈴木宗男氏は、国政返り咲きを狙い、衆院選が公示される10月10日に札幌市中央区で第一声をあげる予定だ。