北海道十勝管内のバス会社2社が11月1日から、路線バス乗り放題のインバウンド(訪日外国人)専用のフリーパスを発売する。「VISIT TOKACHI PASS」と名付けられたパスは十勝バス(帯広市)と北海道拓殖バス(音更町)の2社で発売。十勝のインバウンドの足をサポートする。
スポンサーリンク
十勝の魅力を高めるための機動力
「VISIT TOKACHI PASS」は、インバウンド専用で日本人の旅行客らの利用ができない。購入の際にはパスポートなどの提示が必要になる。券種は6枚つづりの1日券が1500円、12枚つづりの2日券が2500円。券を使い切ったあとは、表紙を見せれば何度でも乗車できる。乗車のデータを取るための措置だ。
十勝管内は全19市町村があり、各地域に魅力あふれる観光スポットが点在している。帯広市で開催する「ばんえい競馬」は、大きな農耕馬が鉄製のそりをひくダイナミックなレースで、世界で唯一の競馬だ。音更町の十勝川温泉、上士幌と鹿追両町にまたがる然別湖も擁し、インバウンドにとって十勝は魅力ある観光地だ。
「VISIT TOKACHI PASS」は、対象となる路線にとかち帯広空港、JR帯広駅バスターミナルも含まれるため、十勝の玄関口からのアクセスにも対応。インバウンドにとって、不慣れな異国でレンタカーを運転することなく、観光利用の機動力が高まる。
インバウンドのサービス向上がリピートのカギ
今回のサービスを実施する背景には、急増するインバウンドへ向けたサービス向上によってリピート率を高めるなど、さらなる活性化がある。北海道などによると、2016年に十勝管内を訪れたインバウンドは約11万3000人で、3年前の約1.5倍の伸び率を見せている。
【北海道の訪日外国人向けの交通サービス】
▽Hokkaido Expressway Pass
北海道内の高速道路が、定額で乗り放題のサービス。各レンタカー窓口で販売している
・2日間=3600円、3日間=5100円…7日間=7700円など
▽JR Tohoku-South Hokkaido Rail Pass (JR東北・南北海道レールパス)
2018年発売で札幌、函館、新千歳各駅を含む道央、道南と東北の各エリアを周遊できるフリーパス
・有効期間は発行日から14日間のうち、任意の5日間となる
・発売期間は2018年1月5日~2019年3月31日まで
・料金は12歳以上が19000円~、6~11歳が9500円~
北海道運輸局でも2015年11月~2017年3月にかけてインバウンド向けの周遊パス「Inter City Bus Pass」を発行し、道内のバス会社6社が共同で都市間バスを運行していた。今回の十勝のバス会社のインバウンド施策は今後も、道内各地へ波及していくことが確実とみられる。
観光庁によると、2016年のインバウンド数は2404万人で過去最多を更新。2017年も9月末現在で2200万人を突破し、昨年の記録更新が確実だ。インバウンド需要の増加こそ、地域経済活性化の大きな要素になっている。