北海道音威子府村の村立おといねっぷ美術工芸高校(伊藤良平校長)が人気だ。10月28日に実施した「体験入学」では、道内外から81人の中学生が参加。ちなみに全校生徒は約120人だ。実は同校、全国高校総体(インターハイ)で全国制覇をしている凄い高校なのだ。
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人口700人台の北海道一小さな自治体に若者が集結
同校は道内で唯一の工芸科の村立高校で、村内の生徒を除いて全寮制となっている。校区は全国だ。2017年3月の北海道の公立高校の入試では、定員40人のうち20人が推薦で合格。残る20人の一般受検枠に24人が挑み、倍率が1.2倍だった。2016年3月の入試では、1.9倍の倍率で狭き門となっている。
村の2017年10月末現在の人口は776人。同校の生徒や教職員が計約130人で村内人口の約17%を占めている。同村の中心的な存在が、おといねっぷ美術工芸高校というわけだ。一度は廃校の危機にあったが、2002年に現校名に変更し、現行の課程を採用してから生徒が集まるようになった。
教育課程は1年次で美術と工芸の基礎を学び、2年進学時に「工芸コース」と「美術コース」に分かれる。例年、道外から約10%の生徒が入学してくる。今回の体験入学でも福岡県、兵庫県、埼玉県から参加した中学生もいるなど、全国的な関心度の高さをうかがわせる。もちろん、北海道の大自然を日常的に体験できるのも魅力だ。
五輪出場選手も誕生、インターハイで4度制覇
おといねっぷ美術工芸高校は、クロスカントリースキーのインターハイで4度の男子総合優勝を達成している。2004~05年、15~16年をそれぞれ連覇。04~05年の連覇に貢献した吉田圭伸選手は音威子府村出身で、中央大から陸上自衛隊冬季戦技教育隊(冬戦教)に入隊し、2014年ソチ五輪に出場している。
同村には国際スキー連盟公認のクロスカントリースキーのコースがあり、毎年12月に全日本音威子府大会を開催している。五輪や世界選手権の選考レースとしても開催され、村の人口と同規模の選手や関係者が詰めかける。そんな環境にある同校は、クロスカントリースキーの強豪校としても知られる存在だ。
工芸科という地域の特色を生かした高校の授業カリキュラムが話題を呼んでいる。さらに、スポーツでも全国制覇を成し遂げるなど、その名を全国にとどろかせている。村民の温かい支援を受けながら、同村の地方創生の先頭に立っているのが同校だ。今冬のインターでの活躍に注目が集まる。