11人の札幌市議が11月5日~11日の7日間の日程で、米国とカナダへ公費による海外視察中だ。視察の実態にそぐわない批判を受け、2009年に凍結されてから8年ぶりの実施。北海道の主要市では札幌市以外、公費の海外出張を認めている議会はない。帰国後の報告が注目される。
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総額約700万円超の旅費
今回の海外視察の行き先は、札幌市と姉妹都市提携を結んでいる米国ポートランド市、カナダのエドモントン市。2026年冬季五輪・パラリンピックの招致を検討している市にとって、ポートランドの都市づくり、気候が似ているエドモントン市を参考にするという。
市議の海外視察は4年の任期中に1人80万円という規定がある。今回の海外視察では1人約70万円となり、11人の議員団の旅費だけで700万円を超える。これまで事実上の観光旅行が多かった“海外視察”の正当性を示すため、出発前に計画書・行程表、帰国後にホームページで報告書を公表するとしている。
【札幌市議の過去の主な海外視察の問題】
2002年:公明4市議の「豪州視察」が高額として、住民監査請求で1人16万円の過払いが発生し、返還命令
2006年:翌年の改選で引退を表明した自民4議員が1人67万円で「欧州視察」
今回の海外視察で共産党や市民ネットの議員は、税金の有効活用を理由に参加していない。市民ネットは議員1人当たり4年間で総額5440万円の海外視察費の廃止し、政務活動費で充当することを訴えている。
2枚目海外視察中の全11市議は次の通り
※敬称略。議員の顔写真の出典は全て札幌市議会
議員の「海外視察」は、事実上の観光旅行で全国的にも問題になっている。もう一つは議員が都市づくりやマーケティング、ニーズや方向性など、民間のシンクタンクやリサーチ会社なみの能力があるのかどうかだ。
11月中に発表される報告書は、多くの市民の目や各民間の専門家の目によって精査される。今回の11人の議員の中には、自身のSNSなどで旅行気分を感じさせる出発を報告する書き込みもあった。ぜひとも、札幌市や市民にとって実りある海外視察になることを期待したい。