「なんて素敵にジャパネスク」で知られる小説家の氷室冴子氏(享年51)の功績をたたえた「氷室冴子青春文学賞」が創設された。氷室氏の地元・北海道岩見沢市の有志が同実行委員会を立ち上げて主催。2018年1月15日から、小説投稿サイト「エブリスタ」で募集を受け付ける。
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「なんて素敵にジャパネスク」で大ブレーク
氷室氏は岩見沢市出身で、岩見沢東高から藤女子大文学部に進学。大学3年次に「第10回小説ジュニア青春小説新人賞」で佳作を受賞した。この受賞作となった「さようならアルルカン」で1977年に小説家としてデビューした。
大学を卒業後、精力的に青春小説を書き続けた。氷室氏がブレークしたのは、1984年に発表した「なんて素敵にジャパネスク」。平安時代の宮廷貴族の少女に、現代風の女子高生の思考を持たせた画期的な作風だ。同作品の発表後、氷室氏のような時代小説と現代的な感覚を融合させた作品が続くようになった。
「なんて素敵にジャパネスク」は、91年にかけて長期にわたってシリーズ化され、累計800万部の大ヒットとなった。多くの女性の共感を呼び、発行元の集英社を代表する小説家の地位を確立した。氷室氏は2008年6月10日、肺がんのため、東京都内の病院で51歳の短い生涯を閉じた。
青春をテーマに優れた才能を発掘する
2018年は氷室氏の死去後、10年にあたる。岩見沢市で氷室氏と交流のあった友人や知人らが中心となって、実行委員会を立ち上げ、第1回の「氷室冴子青春文学賞」の設立を果たした。氷室氏のような優れた才能の発掘を目指すのが目的だ。
▽審査委員
・伊藤亜由美氏=クリエイティブオフィスキュー代表取締役
・久美沙織氏=小説家として氷室氏らとともに「コバルト四天王」として活動
・辻村深月=「鍵のない夢を見る」で第147回直木賞を受賞
【第1回氷室冴子青春文学賞の作品募集要項】
募集テーマ:「青春」をテーマとした小説。「青春」の要素があれば、ジャンルの制限はなし
募集文字数:2万~6万字(400字詰め原稿用紙50~150枚)
応募資格:年齢、性別、職業、国籍は問わない
応募期間:2018年1月15日(月)~2018年3月15日(木)
応募方法:エブリスタ内特設ページestar.jp/_ofcl_evt_outline?e=153669
結果発表:2017年7月前半を予定
受賞者:2018年7月13日(金)に岩見沢市で開催する授賞式に招待する
活字離れが進む現代で、あらためて青春をテーマにした文学賞の設立は、意義深いものがある。氷室氏の作品を知らない若い世代にとっても、時代を駆け抜けた同氏の作品を手にするきっかけになりそうだ。