任期満了に伴う佐賀県嬉野市長選は1月14日、告示された。投開票は同21日。立候補したのはいずれも新人で、視覚障害を持つ演歌歌手の岸川美好氏(69)、元佐賀新聞記者の村上大祐氏(35)、コンサルタント会社社長の藤山勝済氏(67)の3人。立候補者の詳細や情勢予想などを伝える。
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嬉野市長選挙速報
岸川 美好氏 得票数 415
村上 大祐氏 得票数7890 当選
藤山 勝済氏 得票数7312
※1月21日21時半確定=投票率70.52%
嬉野市長選挙は新人の村上大祐氏が初当選を果たした。
立候補者のプロフィルや主な経歴など
岸川氏は山口県宇部市出身。1969年に結婚を機に嬉野市に移り住んだ。市内で鍼灸(しんきゅう)院を経営している。盲導犬の普及を目指すNPO法人の理事長も務めた。2000年に演歌歌手デビューし、音楽事務所の代表も務めている。64年の第2回パラリンピック陸上100mで金メダルを獲得している。
村上氏は九大法学部を卒業後、2006年佐賀新聞社に入社。地方版の記者として、伊万里市などを担当する伊万里支局長を務めた。前回の2014年の嬉野市長選では、世代交代を求める声が起きた。今回、一部の嬉野市議から市長選出馬の声がかかり、立候補表明を決断。職を辞して出馬に向けて動いている。
藤山氏は慶大商学部を卒業後、1974年三井不動産へ入社。全国の三井アウトレットの開発を推進するアウトレット事業室長、商業施設本部長補佐など、複合商業施設に関する豊富な経験がある。現在は商業施設のコンサルティング会社社長を務めている。祖父は元厚生相で旧嬉野町出身の故相川勝六氏。
◇岸川 美好(きしかわ・みよし)氏
生年月日:1948年2月7日
出身地 :山口県宇部市
出身校 :山口県立盲学校
主な経歴:鍼灸院経営、音楽事務所代表、NPO法人理事長
◇村上 大祐(むらかみ・だいすけ)氏
生年月日:―
出身地 :広島県尾道市
出身校 :九大法学部
主な経歴 :佐賀新聞記者
◇藤山 勝済(ふじやま・かつなり)氏
生年月日:1950年10月25日
出身地 :東京都千代田区
出身校 :慶大商学部
主な経歴 : コンサルティング会社のウーム社長、三井不動産
立候補者の主な公約や主張など
▽岸川氏
・自ら広告塔になって嬉野の観光を活性化させたい
・若者たちが定着するよう職場となる企業誘致を推進
・障害者が安心して暮らせるまちづくりを目指す
▽村上氏
・子育て支援を充実させ、子どもが誇れるまちづくり
・若者が根付くために、木材や食品加工の工場誘致による雇用の創出
・民間の資金調達による財政基盤の確保
▽藤山氏
・嬉野はまだ魅力を生かし切れていない
・茶業や窯業を積極的に取り入れ、観光産業をさらに充実させていく
・自分たちで稼いで自主財源を確保する
選挙の争点や情勢、予想などを解説
嬉野市長選の争点は、新人候補のまちを活性する政策になる。谷口太一市長(71)が2017年10月に長期政権の弊害を危ぐし、4選不出馬を表明。現状では特定の候補者を支援しない方針を明らかにしている。
同市の国際観光化による活性化、増加している高齢者への支援拡充の各施策もポイント。2022年度に暫定的な開通を予定している「九州新幹線長崎ルート」の全線フル規格化なども観光の活性化のカギを握る。
藤山氏は前回2014年嬉野市長選では、谷口市長に1000票弱の差で敗れている。藤山氏の商業地の誘致に関して豊富なキャリアがある一方、新聞記者として取材を通して地域の課題を熟知している村上氏との選挙戦は、有権者の注目も集まる。
1月21日の投票時間は7~19時(一部投票所は18時まで)で、20時から「嬉野市体育館」で即日開票する。2017年12月1日現在の選挙人名簿登録者数は2万2515人。