任期満了に伴う埼玉県戸田市長選挙は3月18日、告示された。投開票は同25日。立候補者はいずれも無所属で、前同市副市長で前同県北本市長の石津賢治氏(53)=自民推薦=、元同市議の望月久晴氏(70)=共産推薦=、同市選出の元県議の菅原文仁氏(42)の3人。三つどもえの選挙戦となった。立候補表明者の詳細や情勢予想、投票・開票情報などを伝える。
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菅原 文仁氏△ 得票数26029 当選
石津 賢治氏〇 得票数10163
望月 久晴氏 得票数 4055
※情勢予想で◎=有力、〇=やや有力、△=やや苦戦、無印=評価対象外
※投票率38.19%
戸田市長選は、新人の菅原氏が大差で石津、望月各氏を破り、初当選した。
戸田市長選の争点は、引退を表明した神保国男市長の市政の継続か刷新かの是非になる。神保市長は、前副市長の石津氏を後継指名した。石津氏は4選を目指した北本市長選に落選後、神保市長から「入閣」の打診を受けて、戸田市副市長に就任。そんな縁もあり、有権者も複雑な心境だ。
石津氏は北本市長時代に、多額の事業費をかけた「新駅建設」計画が住民投票までもつれ、白紙撤回されている。市民感覚とかけ離れた市政運営と評され、2015年の4選をかけた北本市長選で落選している。
おもしろいのは、元埼玉県議の菅原氏だ。42歳という若さを武器に機動力を生かして、現市政の刷新を目指し、地道に政策を訴えている。2009年の戸田市議選は、得票数1993票の2位で初当選。09年は4143票でトップ当選、11年と15年の県議選もトップ当選した。
情勢を予想すると、石津氏と菅原氏の事実上の一騎打ちが濃厚だ。戸田市は若年層の有権者が多く、浮動票も加われば菅原氏の勝利が現実味を帯びてくる。ただ、前回のように市長選に向けて中傷ビラが出るなど、荒れた選挙戦になる可能性もある。
3月25日の投票時間は7~20時で、21時から「戸田市役所5階会議室」で即日開票する。2017年12月1日現在の選挙人名簿登録者数は10万8474人(男5万5718人、女5万2756人)。
▽期日前投票
期間:3月19日~3月24日
時間:8時半~20時(時間は投票所によって異なる)
投票所:戸田市役所1階東側ロビーほか3カ所
▽戸田市メモ
位置:埼玉県南部に位置し、東京都板橋区と北区に接している
人口:13万8738人(2018年3月1日現在)
特色:ボートレースの戸田競艇場が有名
名産品:せんべい、ハチミツ
◇石津 賢治(いしづ・けんじ)氏
生年月日:1964年11月13日
出身地 :東京都
出身校 :東京大法学部
主な経歴 : 戸田市副市長、北本市長(3期)、同市議(2期)、塾講師
東京大法学部を卒業後、塾講師などを務めた。1991年北本市議選に初当選して2期務め、99年の同市長選で落選。03年に初当選して3選を果たした。4選を目指した15年は北本駅回収工事の是非が住民投票で否決、トップダウン的な手法に批判が高まり、落選した。
◇望月 久晴(もちづき・ひさはる)氏
生年月日:1947年10月21日
出身地 :埼玉県戸田市
出身校 :東京都立王子工高
主な経歴 : 戸田市議(7期)、研磨紙メーカー社員
東京都立王子工高を卒業し、研磨紙メーカーや戸田民商事務局などを務めた。1989年の戸田市議選で初当選し、共産党所属議員として連続7期務めた。同市長選に出馬の意向を固め、17年市議選に不出馬。18年2月に「私たちの市長をつくる戸田市民の会」の推薦を受けた。
◇菅原 文仁(すがわら・ふみひと)氏
生年月日:1975年7月30日
出身地 :埼玉県戸田市
出身校 :明治大大学院修了
主な経歴 : 埼玉県議(2期)、戸田市議(2期)、社会体育会社社長
1998年日本体育大を卒業後、社会体育会社を設立し、社長に就任。05年の戸田市議選に初当選して2期務めた。08年に明治大大学院を修了。11年に埼玉県議選に初当選して2期務めた。09年戸田市議選、11年と15年の埼玉県議選では、いずれもトップ当選を果たしている。
▽石津氏
「戸田の未来づくりをぜひとも、私に託してほしい」(3月18日の第一声)
・ICTなどの先進技術を使った地域の課題解消
・認知症の初期症状をケアする支援チームの発足
・育児中や育児後の女性の就労支援
・高校生までの医療費無料化
▽望月氏
「埼玉一の財政力のある戸田市は公共事業に使途が偏っている」(3月18日の第一声)
・県内一豊かな財政力で待機児童をゼロにする
・小中学校給食費と高校生までの医療費ゼロを実現
・東小中一体校の建て替えの見直し
・国民健康保険税、介護保険料の引き下げ
▽菅原氏
「生まれ育った大好きな地元をもっと元気にしていきたい」(3月18日の第一声)
・未来への投資を積極的に行い、教育と子育て日本一を目指す
・地域経済と雇用の好循環を生み出し、まちの元気を創造する
・市民の命と健康を守る強く、優しい市政運営
・対話と協働で不断の行財政改革を実現
▽2014年3月23日執行=投票率31.18%
神保 国男氏 得票数20610 当選
峯岸 光夫氏 得票数 9640
神保氏が、司法書士で元埼玉県議の峯岸氏にダブルスコアをつけて5選を果たした。同市長選では、峯岸陣営が中傷ビラをまいたと主張して、神保氏が蕨署に告訴状を提出。多選批判を受けるきっかけにもなった。