任期満了に伴う宮城県亘理(わたり)町長選挙は5月15日、告示された。投開票は同20日。立候補者はいずれも無所属新人で、会社社長の山田周伸氏(54)=自民、公明推薦=と、元同町議の高橋晃氏(47)の2人。斎藤貞町長(75)は、役場を舞台にした官製談合で職員らが逮捕されたけじめとして1期目で引退する。亘理町長選挙の立候補者の公約や政策、経歴、情勢予想、投票・開票の結果速報を伝える。
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議員辞職に伴う亘理町議会議員補欠選挙(定数1)の投開票も同日行われ、ともに新人で会社役員の森義洋氏(37)と、会社員の安瀬(あぜ)康男氏(67)の2人が立候補した。
目次
亘理町長選挙速報
山田 周伸氏〇 得票数8217 当選
高橋 晃氏△ 得票数3201
※◎=確実 〇=有力 △=善戦 無印=対象外
※投票率41.05%
亘理町長選は新人同士の争いとなり、山田氏が高橋氏を破り、初当選した。
▽亘理町議補選の結果速報
森 義洋氏 得票数8679 当選
安瀬 康男氏 得票数2035
※投票率41.05%
【亘理町長選候補者のスコアリング】(P=ポイント)
▽山田 周伸氏
①公約や主張=3
②経歴=2.5
③支持基盤=3.5
=合計9.0P
▽高橋 晃氏
①公約や主張=2.5
②経歴=2.5
③支持基盤=2.5
=合計7.5P
※候補者のスコアリングは5 段階評価で15点満点
※「11P~=◎」「 9P~=〇」「 7P~=△」
※採点は当サイト独自調査による
有権者や投票、亘理町の詳細
5月20日の投票時間は7~19時で、町内15カ所の投票所で行い、20時から「亘理町中央公民館」で即日開票する。5月14日現在の選挙人名簿登録者数は2万8690人(男1万3980人、女1万4710人)。任期満了日は5月27日。
▽期日前投票
期間:5月16日~19日
時間:8時半~20時
投票所:亘理町役場
亘理町の町制施行は1889年(明22)4月1日。1955年に荒浜町、吉田村、逢隈村との2町2村の合併によって、現在の亘理町となる。
2011年3月11日に発生した東日本大震災では、亘理町で震度6弱の揺れを観測。役場が使用不能になり、津波で町の面積の50%弱が浸水による被害受けた。町民の死者・行方不明者は300人以上に上った。
亘理町は東北地方にありながら、太平洋側に面しており、比較的温暖な気候に恵まれている。イチゴの栽培が盛んでまちの観光資源の大きな要素を占めている。わたり温泉「鳥の海」もリニューアルし、観光産業の中心を担っている。
▽市町村メモ
位置 | 宮城県南部の太平洋沿岸、阿武隈川の河口にある |
面積 | 73.60㎢ |
隣接 | 岩沼市、角田市、山元町、柴田町 |
人口 | 3万3683人(2018年3月末現在) |
観光地 | 「称名寺のシイノキ」は国の天然記念物に指定されており、樹高は約14m・幹回りは7.5m~11mで樹齢約700年と推定されている |
名産品 | 仙台いちご、亘理産りんご、アセロラ |
有名人 | 鈴木淳(Jリーグ監督)、佐藤恵利子(元女子サッカー選手) |
亘理町長選挙の争点や情勢、予想を解説
亘理町長選の争点は、東日本大震災の復興事業の完了や将来的なまちづくりの展望などになる。農業や漁業の基幹産業に加え、人口減少などを見据えた、観光業などによるまちの活性化もポイントになる。
まちの観光資源を有効活用し、さらなる交流人口の拡大。震災後のまちづくりに向けて、町民の声を町政にいかに反映させていくかも大切だ。
情勢を予想すると、山田、高橋両氏による明確な対立の構図がなく、支持母体や有権者への政策の浸透が当落の大きなカギになりそうだ。
山田氏は自公の推薦を受けており、地元の商工団体や企業などの組織票の獲得が手堅い。高橋氏は町議歴があるとはいえ、補選で無投票当選のため、任期は1年に満たなく、知名度不足は否めない。山田氏が優位な選挙戦を展開しているといえる。
立候補者のプロフィルや主な経歴など
山田周伸氏
◇山田 周伸(やまだ・ひろのぶ)氏
生年月日:1963年9月21日
出身地 :宮城県亘理町
出身校 :東北学院大法学部
主な経歴 : 山田屋社長、同和火災海上保険入社
1986年3月に東北学院大を卒業し、同年4月に同和火災海上保険(現あいおいニッセイ同和損害保険)に入社。同社を退社後、89年4月に亘理町で家業のみそ・しょうゆ製造業を経営している老舗の山田屋に入社し、2006年に社長に就任した。
高橋晃氏
◇高橋 晃(たかはし・あきら)氏
生年月日:1970年8月13日
出身地 :宮城県亘理町
出身校 :東北大院、東北学院大院
主な経歴 : 公益財団法人東北活性化研究センター、亘理町議(1期)
東北学院大、東北大の各大学院を修了。医療政策などが専門分野で、看護専門学校や高校の講師などを務めた。2014年の亘理町議補選に無投票で初当選。15年の出馬は見送り、仙台市の公益財団法人東北活性化研究センターに勤務した。
立候補者の主な公約や主張など
▽山田 周伸氏
・公園の維持管理の徹底、町内各所のバリアフリー化
・次世代のリーダー育成に向け、道徳教育の環境整備
・農業や漁業などの加工業の誘致や起業を支援、観光業を第三の基幹産業に
・確実な復興を実現するため、町民主導の計画を策定
・町民、まちづくり協議会、行政による協働の亘理の未来の構築
▽高橋 晃氏
・町民が主体的に考え、議論するタウンミーティングを実施
・子どもが主体的に考え、議論する子ども議会・委員会の実施
・雇用創出促進、子育て支援、待機児童対策
・高齢者の活躍の場を確保、コミュニティーとの交流促進
・震災後の心のケア強化、高付加価値商品の開発やPR支援
前回の2014年亘理町長選の状況
前回2014年の亘理町長選は新人の一騎打ちとなり、斎藤氏が大差で元町議の鈴木氏を破り、初当選を決めた。
▽2014年5月18日執行=投票率49%
斎藤 貞氏(71)=新 得票数8617 当選
鈴木 高行氏(65)=新 得票数4706
※年齢は当時