歌志内市は2月20日、かもい岳スキー場を2019年3月末で休止すると発表した。業務を委託していた指定管理者が業績悪化により、破産手続きを申請するなど、19年度以降の指定管理者が決まらないため。冬季オリンピックなどにアルペン選手を輩出してきた道内屈指のスキー場が存続の危機に陥っている。
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現在の指定管理者「株式会社プラッサ」が公募に応じず破産を申請
かもい岳スキーは現在、株式会社プラッサ(歌志内市、斉藤博社長)が指定管理者となっている。スキー場の他、麓にある温泉・宿泊施設の「ホテルかもい岳温泉」も運営。両施設が2019年4月1日以降、休止となる。
プラッサは2007年度から、スキー場と温泉施設の指定管理者となった。同社は昨年11月、歌志内市の3年に一度更新する指定管理者の公募に応じなかった。他の事業者の応募もなかったため、19年度からの休止が決定した。
歌志内市がプラッサに支払う指定管理料は無料で、同社が自力で利益を確保しなければならなかった。しかし、ここ数年でスキー場の利用客が減少して収益が悪化。かつて年間20以上を数えた大会も、今季は10大会にとどまり、出場選手も半数近くまで落ち込んでいた。
プラッサは2月28日、札幌地裁滝川支部に破産手続きの申請を行った。負債総額は約5000万円に上るとみられる。同社は1990年に設立し、スキー場や宿泊施設、スキースクールの運営、スキー用品販売を行ってきた。売り上げは2億円を超えていた時期もあったが、ここ数年は1億円前後で経営が悪化していた。
2022年度以降の見通しが立たず
かもい岳スキーは、市民スキー場として1961年にオープン。東西に2つのゲレンデを配し、計4本のリフト・ロープトウと8コースを擁する。シーズン中は道内外のアルペンスキーの合宿も行われ、道内のアルペンスキーの聖地として有名なスキー場だ。
ただ、国土交通省の法令により、リフト施設の維持・管理費がかさむ。ゲレンデ内のセンターハウスなども老朽化を進み、改築などの費用も経営を圧迫してきた。このため、歌志内市では、プラッサに対して19~21年度に限り年間1800万円の指定管理料を支払う条件提示をしてきた。
プラッサ側では、通年での利益の確保が難しく、22年度以降の指定管理料の確約が市から提示されす、先行きが不透明として、契約を断念した。温泉施設などは通年営業をしているため、休止が長引けば建物に傷みが出る可能性もある。このまま、営業ができなければ、スキー場も温泉施設も廃止する可能性がある。少して収益が悪化。かつて年間20以上を数えた大会も、今季は10大会にとどまり、出場選手も半数近くまで落ち込んでいた。
冬季五輪などに数々の選手を輩出
かもい岳スキー場は、アルペンスキー選手を育てる「かもい岳レーシング」が、五輪などの国際大会に選手を輩出してきた。隣接する砂川高のスキー部の選手も、合同で練習するなど、アルペンスキーの育成は全国区だった。
かもい岳レーシングは、1975年2月に国体で優勝経験もあるプラッサの斉藤社長が設立。2018年平昌冬季五輪に出場した歌志内市出身の男子の石井智也選手もOBだ。世界の舞台や全日本の大会で活躍した選手も数多い。